RWディスクはFDではありません。

さて、今日の問い合わせ。
「デジカメ写真をDVDに記録していたんですが、読み取れなくなったんです!なんとかなりませんか?」
単純に「ディスクのデータが読み取れなくなった」と言っても、原因はいろいろと考えられます。
しかし、よくよくお話を聞いていると、DVD-RWに追加追加でデジカメ写真を記録していった、とのこと。
うーむ、こ、これは…よくあるアレでは…。
この手のトラブルは、CD-RWででもよくありました。
RWディスクは、消去もできる。
だから、フロッピー代わりに追記や消去をして使える。
………うーむ。
1行目は、その通りです。間違いはありません。
2行目は、間違いではありませんが、正しいわけでもありません。
確かに1回書き込みではなく消去して書き込み直しができるので、「フロッピー代わりに使える!」という「ある種間違った認識」を持つ人が非常に多いようです。
間違っているポイントはただ1つ。
「フロッピー代わり」
この1点においてのみです。
はっきり言います。
CDやDVDのRWディスクを、フロッピー代わりだと思ってはいけません。
基本的に1回書き込みのみ、たまに上書きで書き換えをする程度、という利用に限定するべきです。
フロッピーとCDの大きな違いは何ですか?と聞かれて、ほとんどの人はこう答えるでしょう。
「記憶容量が大きいか小さいか」
「ディスクサイズが大きいか小さいか」
その通りです。
でも、機能的な部分で、もっと注目すべき部分で大きな違いがあるのです。
それは…
「ケースに入っているかどうか」
これです。
「えー?CDだってケースに入ってるでしょ?」
とおっしゃる方も多いでしょう。
違います。
ディスクがケースに入ったままで使えるかどうか、ということです。
フロッピーはどうですか?
ディスクは外から見えない・触れられない状態で持ち運ばれ、そのままドライブへ差し込まれて使われます。
でも、CDは、ケースに入れて持ち運んでも、ドライブに入れる際には、必ずいったんディスクが無防備な状態になります。
そして、ドライブにセットされる際には、指紋がベタベタと付けられてしまったり、ケースの端やセットするトレイの端で盤面をキッと擦り付けてしまったり、ケースやドライブから取り出した状態でそのままホコリだらけの机の上に放置されたりすることは、全然珍しい話ではありません。
でも、「それが大問題である」という認識を持つ人は、大変少ないのが現状。
これは、音楽用CDが生まれた背景と、その性質から来る扱いの簡便さが定着しきってしまっているので、それで問題が起こるとは夢にも思わない人が多い、ということがあるからです。
音楽用CDは、エラー訂正信号が、音楽データの3分の1程度含まれており、少々の傷では、きっちりエラー訂正してくれるために、問題なく再生できるように作られているのです。
この辺は、講談社ブルーバックス刊「ディジタル・オーディオの謎を解く―CD・DATの科学と開発」天外 伺朗 (著)に詳しく、しかも判りやすく書かれています。
残念ながら絶版なのですが、興味のある方は、ぜひとも探して読んでみてください。
ということで、歴史的に「CDをはじめとする光学ディスクは、扱いが雑でも問題ない」という認識が広く浸透してしまっています。
しかし、それは音楽用CDにおいてのみの話です。
データ用CD-ROMには、エラー訂正信号は含まれていないのです。
つまり、CD-ROMは傷に大変弱い代物なのです。
ましてや、CD-R/RWなどは…
ましてや、CD-R/RWなどは、その上からレーザーを当てて信号を書き込むのです。
書き込む時点で傷があったり指紋がベタベタ付いていては、エラー訂正以前の問題です。
さて、この辺でお分かりいただけたと思います。
読み取りだけならいざ知らず、書き込みの時点で雑な扱いをして、傷や汚れを付けたまま書き込んでは、エラーが出て当然なのです。
つまり、取り扱いまでフロッピー並みの雑な扱いをしていてはダメなのです。
それと、DVDに関して言えば、CDに比べて数倍の高密度記録を行っているうえに、基本的にCD並みのエラー訂正信号はないと思っていいものです。
映画のDVD-ROMなんかで、指紋をベッタリ付けて再生してみればすぐにわかります。
デッキの性能によってはエラーなしで再生されることもありますが、たいていは指紋の付いたところで映像が乱れるなどして、再生が止まってしまいます。
今まで、RWディスクをフロッピー代わりに利用していた人に「読めなくなった!」と呼ばれて盤面を見てみて、傷のないキレイな盤面であったためしがありません。
たいていは、傷だらけ・指紋だらけです。
これで汚れをふき取ってみて、なんとかドライブが認識してくれるのならまだいい方です。
ほとんどの場合は、手の施しようがありません。
そりゃそうです。傷の上から記録してしまっては、記録そのものがすでにダメなのですから。
そしてこういう場合、えてして「フロッピー代わり」という過信の元、そのディスク1枚にのみデータが存在する、という状況。
そのディスクがどうにかなった時に、データが永遠に失われる、というリスクを考えもしない、という状態ですね。
ここで、改めてCD-R/DVD-Rの正しい使い方を考えてみます。
・データ面の傷や指紋は厳禁。
・R/RWのディスクは、できることなら何度も出し入れする用途には使わない。
・保存版としての用途なら、必ず2枚以上同じ物を作ること。信頼性という点で言えば、あくまで「予備」。
・基本的にRWは使わない。
・RWを使うなら、年に数回の書き換えをする可能性がある場合などに限定する。DVD-RW/DVD+RWなら、「試し書き」として使う程度に。
・バックアップ用途として考えても、Rとの価格差からすれば、あえてRWを使う必要はない。
・「フロッピー代わり」が必要なら、CD-ROMの容量ならMOもしくはUSBメモリ、DVDの容量ならDVD-RAM(ケース入りのままで使えるドライブ)。
ということで、「RWは使わない」が吉です。
で、最後になりますが、今回のような問い合わせの場合の対処は、
・とりあえず盤面を柔らかい布で拭いて、汚れを取ってみる。
・傷がある場合には、市販の研磨剤や研磨器の導入を検討する。
・そもそも傷や汚れの上から記録した可能性もあるので、今回は高い勉強代だと思ってあきらめる。
これしかありません。
冗談抜きで、こればっかりはどうしようもないのです。
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2005年03月25日(金) パソコン・インターネット | 固定リンク
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コメント
A社のドライブで記録したものが、B社のドライブでは読めないことがありますが、どうしてでしょうか。A社のドライブでは読めますが。
投稿: kobayashi yuusei | 2005/09/10 14:40:47
昔から似たようなトラブルはあります。
たとえばフロッピーの普及以前は、パソコンのデータをオーディオテープに記録していた時期がありましたが、ヘッドの微妙な角度の違いで読み込みエラーを起こしていたことがありました。
CD-RWは、反射率がCD-Rよりも低いので、オーディオCDとしてCD-RWを作っても、オーディオ用CDプレイヤーでは再生できないことがあるぐらいです。
つまり、記録時の精密さやメディアの品質が如実に現れるわけですね。
ですので、自分で書いたものは読めますが、他では読めないこともあるわけです。
投稿: ささもと | 2005/09/10 23:01:27
はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。
今回の記事で少し気になったことを少々申し上げてもよろしいでしょうか?
確か、DVDのエラー訂正はデータCDより何倍も多いはずだったかと思います。
また、音楽CDのエラー訂正はデータCDのほうがエラー訂正の容量が多かったと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF (コンパクトディスク - Wikipedia)
僕の記憶違いだったら申し訳ありません。
それでは失礼します。
投稿: hoge | 2006/10/11 23:41:44
hoge さん
うーん、どうも私の調べ方が浅かったのかもしれません。
情報をありがとうございました。
ちなみに、貼っていただいたURLが、後ろのカッコと融合してしまい、うまく飛ばなかったので、そこだけ修正させていただきました。
ただ、記事にも書いていますが、読み出し時に傷があることを想定したエラー訂正があったとしても、書き込み時に傷や指紋があっては話にならないことに変わりはありません。
CDが開発された当時は、まさか書き込みができるようになるとは思わなかったんではないでしょうかねぇ。
書き込みまで想定していたならば、傷や指紋は厳禁ですので、PDのようにカートリッジ式にしていたはずでしょうから。
投稿: ささもと | 2006/10/12 6:59:42
ご苦労をお察しいたします。
こちらのブログを、
何かとよけいなことをしては、メーカでなく息子に電話をかけてくる父や、
まだ説明の途中なのにクリックしまくる弟に読ませてみたいのですが、
たぶん効き目はないでしょう。
さて、自分はディスクメディアのトラブルはほとんど遭遇したことはありませんが、よそからいただいたディスクでは経験があります。
ここで思い当たったのですが、自分で新規購入した音楽CDには、まったく傷がありませんが、オークションや中古ショップなどで購入した音楽CDには、擦り傷だらけのものが時々見受けられます。いったいどういう扱いをすればああなるのでしょうか。
このエントリーの内容ともあわせて考えると、きっとディスクや記録メディアの扱いに無頓着な方が一定割合でおられるのですね。
そういえば昔の笑い話で、
「5インチのフロッピーをホワイトボードにマグネットで貼付けた」
「〃をコルクボードにピンで留めた」
がありましたし、
自分が診たなかでも
「3.5インチのラベルシールを、ケースの裏一面に貼付けてあった」
という絶句ものがありました。
ケースに入っているメディアでも、決して安心はできません。
古いネタで失礼いたしました。
投稿: ぶんぶく | 2007/12/25 13:35:56