ウイルス対策ソフトをご利用の場合、「トロイの木馬」を誤検出する記事があります。警告が出た際は、こちらの記事をごらんの上、お知らせいただければ幸いです。

« まただまされた!! | トップページ | 1枚しか挿さらないカードスロット。(無線LANのOS対応。いろいろ。その後) »

2005年8月17日 (水)

旅行新聞社は営業を中断しました。

このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ! BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

当社オフィス・オービットとは基本的に関係ありませんが、以前関わっていたこともありますし、問い合わせを何件かもらったので、お知らせとして書いておきます。

株式会社旅行新聞社は、2005年8月1日の決済で、資金ショートを表面化し、営業を中断したそうです。

ホームページは7月末時点で、すでに接続不可の状態でした。
http://www.ryokou.co.jp/
(リンクはしていますが、クリックしてもサイトが表示されないことが確認できるはずです)

@niftyの帝国データバンク企業情報というデータベースに照会してみたところ、2005年8月10日の東京商工リサーチの情報として、以下のことがわかりました。
(有料サイトの情報なので、リンクも丸ごと転載もできませんので、原文を元に当方にてまとめました)

-----

会社情報
株式会社 旅行新聞社
住所:大阪市阿倍野区阪南町1-27-2(登記上は同市天王寺区寺田町2-4-16)
設立:平成4年2月
資本金:4000万円
社長:小林茂正
従業員:5名

旅行新聞社は当初、「全国旅行業者名簿」などの発刊で、旅行関係業者のデータ販売で実績を上げていた。
一時は約8割のシェアを誇っていた。
しかし、平成8年(1996年)4月よりスタートしたインターネット広告代理店フランチャイズ(FC)事業に重点を置くようになり、ピーク時の平成12年(2000年)3月期には、年商約4億円を計上し高額所得法人に公示されるほどになっていた。
しかし、インターネットの爆発的な普及とともに、大手旅行関連業者などは自社でホームページを立ち上げるようになっていき、後発の格安予約サイトなどにアクセスを奪われて、ドメイン名のブランド力をつけることもなく、旅行関連広告の競争力が低下し、最近ではFC脱退もあって規模を縮小していた。

-----

インターネット広告代理店FC発足当初は、「ryokou.co.jp」という、日本語カテゴリ分けの大分類にあたる「旅行」というドメイン名「武器」と称してインターネット広告事業に切り込んでいった。
確かに、わかりやすく、その名の通りのドメインなので、ドメイン名としてはよかったかもしれない。

しかし、最近では検索エンジンの定着により、ドメイン名そのものが重要ではなくなってきた。

あまりにもインターネットが普及しすぎて、ドメイン名という概念を知る人の割合は逆に減る方向となり、「旅行関係だからryokou.co.jpって打てば…」といった、わざわざ意識してドメイン名を打ち込むようなことをする人の割合は減る一方となってきたため、ryokouというドメイン名は、覚えやすさ以外にメリットがなくなってしまった。

インターネットが普及し始めた当初、ちょうどWindows95が世の中に浸透して行った時期にあたるが、その頃はITバブル黎明期で、ドメイン名の取得競争が熾烈だった。
その頃は、いいドメイン名を取ってしまえば、将来はバラ色だと信じられていた。
しかし、ITバブルは弾けてしまった。
「いいドメインを取って、ホームページさえ作っておけば、後は放って置いても客が来て儲かる」という甘い見通しで参入してきた人が、あまりにも多かったからである。
結局この時期に儲けたのは、レンタルサーバー関連事業・ホームページ制作関連事業のみと言える。

旅行新聞社は、インターネット広告代理店事業を「フランチャイズ(FC)」と称し、全国各地で説明会を開いて、本社と直接契約で加盟させ、その加盟店(実際はほとんどが個人)に、本業であるインターネット広告の営業活動より、説明会を開かせることに本腰を置かせた。
加盟金は50万円~90万円と、FC加盟金の相場としては安いが、説明会でFC加盟させると、その半分は説明者の手に渡るという、完全に人集めのためのシステムだった。
そのため、本業の広告営業活動よりも実入りがよく、旅行新聞社自体も説明会開催を推奨していたので、ある種マルチ商法に近いシステムとして、それを目的にした加盟が後を絶たなかった。

マルチ商法とは? :香川県消費生活センター

ここにある通りで、うまい話をちらつかせてお金を巻き上げ、せっせと「人集め」をするように扇動していたわけである。
そりゃ年商4億も出るわけです。

結局、単なる「人集め」に過ぎず、母体である旅行新聞社と一部の「説明会専業者」だけが一時の儲けを手にし、それ以外の加盟店(個人)は、まともな説明会活動もままならず潰れていった。
いくら「人集め」をしても、集めたそばから潰れていく状況では、ある程度以上の広がりを見せることなどありえない。

そういう「人集め」をしている間にも、インターネットの普及は予想以上に進み、他の旅行業者の予約システムはどんどん改良され使いやすくなって、利用者数を順調に伸ばしていった。
単に宿泊施設のデータベースにとどまっていた旅行新聞社のサイトは、アクセス数こそそれほど下がらなかったものの、インターネット全体の利用者の増数から見れば、明らかに下降傾向であったことは否めない。

そして旅行新聞社の本業であった旅行業者関連のデータ販売や、買収した宿泊施設一覧雑誌「全国宿泊帳」などの出版業務は、関連会社として設立した「株式会社旅行出版」へと移管し、完全にインターネット広告事業に軸足を置いた。
しかし、結局は予約もできないようなサイトには魅力がなく、宿泊施設にとってみれば、自前でホームページを作ることが簡単にできるようになってきた昨今では、魅力の薄いサイトにお金をかけてまでリンクを張ってもらう必要もない。
同じ提携するなら、直接に予約客を引き込んでくれる「予約サイト」と提携した方がメリットが大きいのは素人目にもわかる話。

「ドメイン名」という過去の栄光にすがり、予約システム導入などの改善努力をないがしろにした結果が、この8月1日の営業中断。

インターネット黎明期に、「インターネット広告」という事業に目をつけた「先見の明」はあったのでしょうが、この業界の「流れの速さ」の見通しが甘かったのが敗因だったのでしょう。

-----

しかし、いまだ長引く不況の中、他人事と笑っていられません。
同じIT業界のこと。
これを他山の石とし、精進していかなければならないと思いました。

-----

追伸

この記事では、旅行新聞社にFC加盟していた加盟店(個人)が潰れていった、と書いていますが、それは決して旅行新聞社だけに責任があるわけではないと考えます。
加盟するしないを決めるのは、あくまで決断をした人の責任であり、加盟先に責任転嫁をするのはいいことだとは思いません。
マルチ商法っぽいやり方に幻想を抱いて自滅した人は、本文中に書いた通りで、見通しが甘かったというところでしょう。
見通しができていない事業に頼り切って軸足を置いていてもダメだ、といういい事例です。

私はこちらから見限って旅行新聞社とは関わりを持たなくなりましたが、一つ社会勉強をさせてもらったというところでしょうか。

ちなみに、人気blogランキング参加中です。 よろしくお願いします。

このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ! BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク

2005年08月17日(水) お知らせなど |

« まただまされた!! | トップページ | 1枚しか挿さらないカードスロット。(無線LANのOS対応。いろいろ。その後) »

お知らせなど」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13757/5556666/void
↑トラックバックをいただく際は、最後の「/void」を抜いてください。お手数ですがよろしくお願いいたします。

※あまりにも無関係なトラックバックが多いため、当面はトラックバックの公開は承認制にしました。トラックバックを送っていただいてもすぐには反映されません。ご了承願います。

※トラックバックをいただく際は、この記事のURLを記事中に記載(もしくはリンク挿入)願います。
この記事と無関係な内容であったり、明らかな宣伝もしくは宣伝活動目的と判断されるもの、トラックバック元がトップページへのリンクであるもの、もしくは当方が不適切と判断されたものは、公開の承認はなされません。あらかじめご了承願います。

この記事へのトラックバック一覧です: 旅行新聞社は営業を中断しました。:

コメント

はじめまして。
ハンドルで失礼します。実は、僕も特約店やってました。
しかも、おそらく最後から2番目の入会者…。

まったく耳が痛いです。
本部に漂う、けだるいやる気のない雰囲気は肌で感じていたのですが、関西の企業はこんなものかと、ユルいのが特徴かもしれないと思ってたら、こんな事態に。

少し借金もこさえてしまいましたが(中級乗用車位)、いい勉強になったと思って、今はコツコツと勤めてます。一生懸命働くだけでお給料もらえるなんてなんて幸せなんだとの気持ちを噛み締めている日々です。

こういう結果になってしまったものの、僕としてはインターネットバナー広告の世界が垣間見れてそれは収穫だったと感じてます。なんだかんだいいつつ、ネットのビジネスモデルは広告だと確信してますし。

旅行はRyokou程度のサイトだったら自力で構築できる技術もこの一年で身に付けましたし、今はAjaxをやる気になってます。夢はlivedoorにも負けないポータルサイト構築ですよ。夢だけはでっかく。

とりとめがなくなって申し訳ありません。この記事を拝見してコメントせずにはいられませんでした。では、失礼します。

投稿: amerio | 2006/03/22 20:13:27

僕も特約店の一人でした。結局、広告は1件もとれず、とれないから、代理店募集はしませんでした。自分が広告1件もとれないのに、「儲かる」とは言えませんよね。だから、営業力を身につける意味でも広告獲得に必死になったものです。しかし、広告ってなんだろうと考えたとき、広告主から見れば出すことによって売上げがアップしなければいけませんよね。ここに広告を出したら売上げがあがるだろうか、知名度があがるだろうか、そう考えると売っている商品じたいに自分自身が信用できなくなってしまいました。
当時「インターネット広告代理店の仕事」というメルマガも発行していましたが、書けなくなりましたね。
これは、ネットワークビジネスも同じです。
商品がいいから流通するわけです。代理店をつくるまえにまず、売らなければいけない。その売るノウハウを伝えてこそ本物なんですよね。
お金はなくなるし、離婚されるし、さんざんでしたがいい勉強になりましたね。

投稿: ろばと清作 | 2006/07/31 16:50:53

amerio さん、ろばと清作 さん
コメントありがとうございました。

ちなみに、元旅行新聞社のドメインは、現在は旅行出版社のサイトへつながるようになっています。
ご報告まで。

投稿: ささもと | 2006/08/24 5:23:42

コメントを書く




※Spam対策のため、コメント公開時E-Mailは非表示となります。









※当面コメントは承認後の公開となります

« まただまされた!! | トップページ | 1枚しか挿さらないカードスロット。(無線LANのOS対応。いろいろ。その後) »