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2005年11月28日 (月)

それは世間によくある話。

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リンク: @nifty:NEWS@nifty:「姉歯物件」201件に拡大=偽装36件、近く耐震性確認-国交省(時事通信).

姉歯建築設計事務所による強度計算書の偽造問題。
それに絡んで木村建設の自己破産。
ヒューザーの物件買戻し発言。

最近世間を大騒ぎさせているこの事件。
でもこれは、どこででも起こりうる問題なのです。

10年ほど前、私はとある会社のサラリーマンとして勤めていたんですが、その頃にも同じような話がありました。
これほど世間を大騒ぎさせるほどの規模ではありませんでしたが、話としてそっくりなのが気になりました。
その経験談を書いてみます。

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当時私は、産業機械の仕様書の精査に関わっていました。
基本的には、仕様書の誤記やページ抜けといった、校正に近いチェックをしていました。
仕様書の誤記の問題ということもないではなかったのですが、それを提出する相手はほとんどが一流メーカーだったということと、ISO9000シリーズ認定の絡みもあり、きちんとチェックすることが要求されていました。

ISOとは? :三重県
4.2.3 文書管理 :アイソ・ワールド株式会社
(引用元に意図はなく、検索してわかりやすい解説サイトを選びました)

要するに、この場合は文書管理の徹底の一環として実施をしていたわけです。

私はその目的に従い、提出書類に誤記を発見してはチェックして送り返す、ということを繰り返していました。
なんだかんだ言いながら、ほとんどの書類に、何がしかのミスがありました。
当時はまだE-mailが社内に整備される直前で、ほとんどは紙ベースの書類で、営業所間は「社内便」でやり取りされていました。
ですので、ミスで返送になると、それだけで2日ほど時間的ロスが発生します。
まぁたとえE-mailがあったとしても、検印が必要なので、結局は紙ベースになってしまうので同じだったわけですが。

そうやってミスによる返送を何度もやっていると、当然ながら各営業所からクレームが付きます。
「早く通さなければ機械の製造に取り掛かれないんだ!これぐらいは見逃してくれ!」
「前回はこの記述で問題なかったじゃないか!今回はなぜダメなんだ!」

こうなると、もう感情的な問題となってきます。
お互いに揚げ足の取り合い、いがみ合いです。

じゃあスムーズに事を運ぶにはどうすればいいのか?
簡単な話です。

チェック機関だけ設けておいて、適当にスルー(素通り)させてしまえばいいのです。

チェック項目は、かなりの多岐にわたります。
一通りを毎回精査していたら、それだけで数時間かかることになり、数がこなせないのです。
また、全ての間違いにチェックを入れて、返送をかけるだけでも実はかなりの手間です。

要するに、「全ての間違いにチェックを入れる必要はない」ということです。
極端な話、「通せ」と圧力がかかれば、ノーチェックでもいいぐらい、納期が優先されるのです。
そして、チェック機関としても、突っ返さずに数をこなしているので「いい仕事をしている」という評価をもらえることになります。

はい、ここで問題なのは何か、気がついている人も多いと思います。

本来あるべきチェックをスルーすることによって、そのしわ寄せがどこに行くのか。
当然ながら、「流れ」の下流に行きます。
つまり、最終的に機械をお渡しする「エンドユーザー」に迷惑を押し付けることになります。

作ってしまった機械は修正が利きません。
お渡しする仕様書も、ノーチェックの杜撰(ずさん)な物だと、お客様からの信頼を損ねることになります。
ISO9000シリーズの認証をもらっている会社のやることではないのです。
というよりは、そもそも、そんないい加減な仕事をしてはならないのです。

ただ、目先しか見ていない給料取りには、そんなことは関係ないのです。
目先にある、自分に与えられた仕事・ミッション(使命)にしか興味はないのです。

この件の場合は、結局あれやこれやと揉めた結果、私の部署を外し、本当jに適当にスルーできる体制を作ってしまいました。
大きな会社ですから、その程度の些細なことなどお構いなしに運営はされていきます。
正しいことを守るために突っ張っても、何の解決にもなりませんでした。
納得はできませんでしたが、

大きな組織というのはそういうものだ

という勉強になりました。
いやぁ、虚しかったですね。

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そしてくだんの「耐震強度偽装問題」。
全く同じことがそこらじゅうで起こっているわけです。
要は「早く安く作れればよい」「形式なんてくそ食らえ」「とにかく検査を早く通すためには圧力をかければOK」
つまり、手段の目的化です。いい物を作るのではなく、検査を通過させることそのものが目的になってしまっています。
こうなると検査なんてあって無きが如し、何のための検査なのか?それを問題視することすらできなくなってしまう。
この程度のレベルの低い認識がまかり通っているところは、目に見えないだけで、どこにでも転がっています。
今回の問題がクローズアップされたのは、ほんの氷山の一角ですが、たまたま一般の消費者レベルの問題になったから表面化したのです。

この件では、どこか一ヶ所が悪いわけではない。

コスト削減の名の下に圧力をかけていい加減なことを要求した会社
圧力に屈していい加減な設計をした会社
いい加減な検査で通してしまった会社

これら全てが背信行為をしていたわけですから、全てが平等に責任を負うべきです。
国の責任はないとは言えませんが、そんなことで税金を使われるのは、どう考えても納得できません。


パソコンの世界でも、似たようなことがありました。
ウィルスバスターのパターンファイルアップデートでもそんな問題があったのは記憶に新しいところです。
顧客への被害が出ることよりも、社内の「目先の仕事」を優先した結果です。

まったく、何を信頼すればいいんでしょうねぇ…。
少なくとも資格や肩書きといったものだけで信頼しきってしまわないこと、ぐらいしかできませんよね。
事前の確認が重要ってことですね…って何をどう確認すればいいのやら。

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コメント

ささもとさんに全面的に同感です。

私の以前の職場は「安全」を最優先すべき職場でした。
にも拘らず、流石に脱法までには至りませんでしたが、スレスレのことをしてきました。
実態を書けば、みなさん驚かれると思います。

そのことを指摘する人間には「バカ正直で融通が利かない」とつまはじきし、分かっていても気づかぬ振りをして、仕事をこなす人間だけが出世をしていきました。

一度事故を起こすと社会的に大きな影響を与え、強い批判を浴びます。
それもその時だけで、すぐに元に戻ってしまうのを体験してきました。
ですから、自浄作用というのを信用していません。

「官」に対する反発から、民営化論が幅を利かせていますが、個人的には、「安全」に関することは民営化してはいけないと思っています。
それは、組織の論理=利益の追求が最優先されることを経験してきたからです。

社会全体が、短期的な視点(目先のこと)だけを重視し、それを評価するという風潮が広がっていることに危惧を覚えています。

長文の書き込み失礼しました。

投稿: taru | 2005/11/30 20:36:12

禿胴です!まさしくどこでどう間違ってしまったのかわからない、社会のシステムとして根付いてしまった問題ですよね~。目的の為に手段を選ばない・・・ではなく手段の為に目的を忘れる体制・・。
社会の経済的プレッシャーからそういった「裏道」を当たり前のように使っている世の中には目を背けたくなります。

バカ正直は損をする、というのはよく聞きますが、バカ正直こそがエンドユーザーとの信頼(絆)を強力に出来る武器だと、私は思います。

実は私も近日同業として別地方で開業するところなのですがこちらのサイトは全く知らなかったソフトウェア的な勉強が出来る素晴らしい場所です!

日々勉強を積み、お客様に即応できる力と信頼を築きたいと頑張っています。バカ正直マンセー!(笑)

投稿: kei | 2005/12/05 18:49:14

taru さん

そうですね、組織であれば「組織」としての体裁を優先し、対外的なモラルは二の次になりがちです。
事故が起こり、批判が起これば、ほとぼりが冷めるまで体裁を取り繕う。これもありがちですね。
自浄作用という言葉は形骸化してますね。

kei さん

同業として開業されるのですね。がんばってください。
この商売、必要なのはマニアックで生半可な知識ではなく、状況に応じた的確な判断と、異常事態に動揺しない冷静さ、そして対人スキルです。
でも、あまりバカ正直すぎても…(^_^;)
お客さんを不快にさせないことが最優先、次にこちらの利益です。その辺のさじ加減が難しいんですよね。
あと、事例は非常に重要な「共有資産」ですので、ぜひとも公開するようにしてくださいね。
個人情報は当然伏せることになりますが!

投稿: ささもと | 2005/12/05 22:05:40

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